”世界一臭い缶詰”
「シュールストレミングを優雅に食べる会」を開催した。


2008年3月22日土曜日

愛知県一宮市の木曽三川公園 138パークタワーふもとにて、



シュールストレミングという



世界で一番臭いと名高い缶詰を開けて、

優雅に食べようというオフ会を開催した。


シュールストレミングとは、
スウェーデンで食されているニシンを塩漬けにした缶詰。
醗酵中のまま缶に詰めるため、缶の中で醗酵が進行し、
缶を開けると強烈な臭いを発する。
その強烈な臭いから
「世界一臭い缶詰」と評されることがある。
さらに詳しい説明については、Wikipediaの項目を参照のこと


(川原に集まった参加者たち。多分周りからはバーベキューでもやっていると思われただろう。)

北欧のグルメというよりは、
バラエティ番組の小道具としてお馴染みのこの缶詰
TVの画面を通して、
悶絶する芸人や、苦悶の表情を浮かべる女優を見たのは
一度や二度ではない。


あの缶詰は、本当にあんな顔をするほど臭いのか?
そもそも、どんな味がするのだろう?



ある日湧いた素朴な疑問を試す日が、
ようやくやってきたわけだ。












今回のシュールストレミングの開缶にあたっては、

準備を入念に行ってきた。

なんせ、送られてきた缶詰にはこんな警告文がついていたんだもの。



中の漬け塩水が周囲に飛び散りますので、、、、

化学兵器と誤解されて騒動を起こすかも知れません。


もっと他に言い方は無いのか?と言いたくなるような、
歯に衣を着せぬ言い回し。
警告文はグサりと突き刺さってくる。こりゃあ何とかせねば。


缶詰ごときで体調を崩すわけにはいかない。
何より、世間に迷惑をかけるわけにもいかない。

開缶場所は2度の下見で慎重に選び、
当日は、身を守るために最大限の装備を持参したのであった。



スキーゴーグルに、雨かっぱに、ゴム手袋(ただし手がデカ過ぎて装備出来ずw)

完璧だ。




万全の装備で、見つめるその先には、

ヤツがいた。






シュールストレミングだ。




テーブルの中央に鎮座する、黄金色に光り輝く缶詰

スウェーデンからの刺客 シュールストレミングである。



ここ1ヶ月ほどは室温で保存していたため、

少しだけ缶が膨れて来た様子。

つまりそれは、中で醗酵が進み、ガスが充満していることを意味する。



相手にとって不足なし!

こっちだってフル装備だぜ!!




いざ、開缶!!!!!!





(続きは動画にて)



シュー・・・・という音とともに、ガスが漏れ出す

それと同時に、風下から悲鳴が上がる。


臭い!!!

臭い臭い!!!

うわっ!きた!!!






次々と悲鳴を上げる参加者達







一番臭いのは、缶詰の目の前にいる俺だ。



趣旨として「優雅に食べる会」だから、汚い表現は避けたいところだが、、、、

率直に言ってこれは、、、、、、


食べ物の臭いとは思えない・・・




口に入れるものというよりは、

下から出て行くものの臭い
がする・・・

臭い、とにかく臭い。




これは、キツいぞ・・・・・

いや、マジでこれは、、、食えそうにないんだが




悪臭に苦悶の表情を浮かべたまま、

開缶作業は完了








これが、あのシュールストレミングである。

正直言って、この画像を見ただけでも、
あの臭いが甦って来る。

あの、”出て行くものの臭い”が・・・





印象的なのは、
缶の汁からポツポツと吹き出してくる泡の数々



ぶくぶく・・・
ぶくぶくぶく・・・・




汁からガスが湧いてくる

開けても醗酵が進行しとるがな。

俺に菌が見えたら「カモスゾ〜」って
うじゃうじゃいるんだろうなぁ・・・





待てば待つほど醗酵が進む、恐るべき缶詰シュールストレミング

これを、まずは一切れ・・・・



準備したライ麦パンに乗せて・・・




いざ食わん!!!

(続きは動画にて)













これは腐っている


そう思った。

そういや鮒寿司(ふなずしパイのレポートを参照)
食べた時も腐っていると思ったが、こいつは鮒寿司の比ではない。
鼻がヤられそうだ。


結局、醗酵している味か腐っている味かなんて、
その人の感じ方次第なんじゃないだろうか。

シュールストレミングスの地元、スウェーデンの食文化では、
「これはいい醗酵だ。醸してるぜ!」ってなるのだろうが、
日本では、ちと厳しい。
スウェーデンの野球ではセーフかもしれないが、
日本の野球ではほぼ確実にアウト。
食文化の違いを痛切に感じる。




抜けるような青空を眺めながら、
半ば放心しつつ考えを巡らせていた俺の傍らでは、

俺の毒見試食を待っていた参加者達が、
次々とシュールストレミングへと殺到していた。



皆さん、さすが奇食の館の読者である。


臭い臭いとはいいつつも、手を伸ばさない者は誰もいない。


それぞれが思い思いのスタイルで、

シュールストレミングを楽しんでいるようだった。


(フランスパンに野菜と卵と合わせて挟むスタイルが人気だった)

参加者総数約15名のうち、
シュールストレミングを美味いと言っていたのは2名ほど
支持率1割強といったところだった。
(俺は「不味い」に一票)



全員に行き渡ったところで、

最後の一枚は、再び俺が堪能



最後の1枚はクラッカーで食べてみた。



地獄に仏というか何というか、

チーズが合う。


そもそも味の説明を書き忘れていたが、
シュールストレミングの基本的な味は塩味
かなり塩辛い。
これに腐った醗酵したニシンの味が加わる

チーズはこの強烈な辛さと臭さを
マイルドにするのに大きく役立っていた。

機会があればぜひ試して欲しい。







というわけで、




皆の好奇心が悪臭に勝った結果、





無事に完食となったわけである。



なお、残り汁は




大地に返しておいた。

あの辺りの草が枯れていないことを願っている。




ごちそうさまでしたー!!!







・・・・と、無事に終わったかに見えた開缶会だが、

シュールストレミングの影響は食事の時間だけでは終わらなかった。


例えばこの、開缶の際に汁がついた指


洗っても、洗っても、
臭いが落ちやしない。


帰りの道中、コンビニで手を洗い、
家に帰って手を洗っても全く落ちないあの臭い
何度石鹸をつけて洗っても、石鹸を超えて臭って来た。
どんだけ染み込んでるんだとw

加えて、
胃から上がってくるゲップも、あの臭い・・・
(ブレスケアなんて効きやしない)

口臭も、あの臭い・・・



食べ終えた後も続く、シュールストレミングの存在感

つくづく、”世界一臭い”と呼ばれるのは伊達じゃないと思った、

今回の開缶会であった。





お終い








以下、余談その1

今回の開缶シーンについて、
TVなどでよく放映されるように、
缶を開けた瞬間に汁がぶしゅーと吹き上がる映像
を期待された方も多いと思いますが、
今回の俺は敢えてそういうものを望みませんでした。
あぁやって派手に吹き上がるものは、
醗酵の進んだ(進みすぎた)シュールストレミングであり、
そういう状態の缶詰は、ニシンの身が溶けてドロドロになっていて、
もはや食べられる状態じゃないそうです。

何度も食べ慣れたものならともかく、
初めて食べる、異国の缶詰
それをベストでない状態で食べて批評するのは、
シュールストレミングに申し訳ないと思い、
醗酵が適度に進んだ缶詰でオフ会に臨みました。
そういった意図ををご理解いただけますと、幸いです。




続いて、余談その2

当日の様子を基にした漫画が、
週刊ヤングマガジンに連載中の
「奇食ハンター」に掲載されています。

単行本は2巻に収録。
漫画版もぜひご一読を。




《シュールストレミングの購入について》

今回食べたシュールストレミングについては、
川口貿易さんで注文して取り寄せました。
また
楽天でも売っていることがあるようです。
自分もという方は、ぜひお試しを。





奇食の館に戻る
(他にも色んな食べ物があります)

TOPに戻る

掲示板へ

メールを送る